輪島市 中島酒造
明治元年創業 100石酒蔵・業界最年少の蔵元・杜氏が作る、新旧の日本酒
厳しさと優しさが同居する輪島市
2月の大寒波が日本に襲来した時、私は石川県金沢市にいた。この時期にしか頂くことができない、酒蔵の初しぼりを体験するためだ。私は、金沢駅でレンタカーを借り、輪島に向かった。途中、厳門で日本海の荒々しさに出会い、日本一長いベンチという遊び心のある能登の様々な風景に魅了された。
金沢を出て約3時間、おめあての輪島市にある中島酒造店に到着した。中島酒造店は輪島市で古くからの酒グラで、その規模は100石、年間約1万本しか製造しない手作りの酒蔵だ。到着するとすぐに蔵元の中島喜久子さんと遼太郎さんが迎えてくれた。
全て手作業・手間暇かけた仕込み
「うちは、米の洗いも手洗い、お湯も釜で沸かし、米も釜で蒸すんです。今の時代と逆光してますよね」と喜久子さんは言った。「しぼりも佐瀬式、2日間かけてゆっくり絞るんですよ。今日初めて絞ったお酒飲んで飲んでみてください」待ちに待った初しぼりの日本酒だ。まだまだ生まれたての荒々しさが残るものの、これまで飲んだことがない、言葉では表現できない美味しさだった。
最年少蔵元杜氏が作る神様への贈り物
杜氏の遼太郎さんは現在29歳。杜氏の平均年齢が60歳を超える中、群を抜いた若さだ。
「他の杜氏さんは自分のことを孫のように可愛がってくれるんですよ。失敗した時どうするかとか、教科書には載っていないようなことを教えてくれるんです。毎日が勉強です。」と答えてくれた。私は数あるお酒の中でどの日本酒を作るのが難しいのか聞いてみた。「お酒の品評会は総じて減点法なんです。日本酒はお神酒のおさがりを分けてもらって人間が飲むという考え方なんです。なので、神様へのお神酒は満点で当たり前。毎年米の質、酵母の質、気候が変わるけど、同じ味を表現できないといけない。ワイン業界が羨ましい。」と少しはにかみながら答えた。
父から息子への贈り物
「うちのお酒の中で自分の一番作るのが難しいのは、「おやじの手作り」ですかね。これは僕の亡くなった父が杜氏の時に作った酒です。本当に能登らしいお酒です。自分が杜氏になって作ると全く同じ味にならない。納得できるお酒を作るのに3年かかりました」少し辛口だが、すーっと喉を通流のにも関わらずコクがある大変美味しく、日本海の新鮮な魚によく合いそうなお酒だと思った。「石川県の日本酒の味はよく似てるんです。実は当たり前なんですよ。同じ米を使って同じ酵母を使って、魚に合うようにと日本酒を作ってるんですから。僕は、その良い伝統を残しながら、もっと若い世代の皆さんに飲んでもらえるようなお酒を作りたいって考えているんです。」
能登日本酒、新時代へ
そして、昨年販売を開始した、「遼」というお酒を入れてくれた。口当たりもまろやかで、確かにこれまでの石川のお酒とは全く異なる味わいだ。「このお酒は僕が杜氏になって作りました。私は蔵元杜氏なので、いろんなチャレンジをすることができるんです。「遼」は、口当たりがまろやかで、コクがあり、少しワインのような咆哮さを感じるお酒だった。このお酒ならイタリアンやフランス料理と一緒に飲んでも美味しいのではと感じる日本酒だった。
ふと横を見てみると、そのたくましくなった遼太郎さんを優しい目で見つめる喜久子さんの姿がとても印象的だった。
セット内容 | 百石酒屋のおやじの手造り(720ml) 1本 能登末廣 純米酒 遼 原酒(720ml) 1本 |
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生産者 | 石川県輪島市 中島酒造店 |
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石川県輪島市
石川県輪島市は、能登半島のほぼ北端、首都圏からのと里山空港へのアクセス以外は、電車など公共交通機関はなく、金沢駅や小松空港から車やバスで約1.5時間のロングドライブとなる。しかしながら、時間帯によっては、のと里山海道では素晴らしい日本海の夕日を見ることができ、隣接するなぎさドライブウェイでは、海岸線を車で走ることができるなど、あっという間の1.5時間と感じるだろう。輪島には、千枚田の美しい風景や、輪島の朝市でのお買い物など様々な輪島ならではの新しい体験を提供してくれる。美食、美観、美技、美湯の輪島に是非お出かけしてみてはいかがだろうか?